【星座を構成する固有名のある星】
・α星(0.0等)アルクトゥルス - Arcturus
スペクトル型 K1Vb
この星の名前は、ギリシア語のアルクトウロスをラテン語読みにしたもので「熊の番人」という意味で、
これはいつも大熊座のしっぽ、北斗七星についてまわることからきていると言われています。
中国では、さそり座を巨大な青竜と見て、その2本の角は長い方がアルクトゥルスと短い方が
おとめ座のスピカに達すると考え、アルクトゥルスを「大角(だいかく)」,おとめ座の1等星スピカを「角」といいます。
日本では「麦星」「麦刈り星」の名前があって、ちょうど麦の刈り入れ時に、
この星が日没後の頭上に輝くことからこう呼ばれたそうです。また「五月雨星」とも呼ばれていましたが、
これはこの星が梅雨時の頃日没後の天頂にくることからだと言われています。
しかしギリシャでは、この星が明け方に昇って来る9月半ばが地中海の荒れる季節に入るため、船乗り達に恐れられ
海で死んだ人々の墓の銘には、しばしばアルクトゥルスの名前が見られたそうです。紀元前341年の記録に、クリミヤへ行く船は
アルクトゥルスが昇る前にボスポルス海峡の中へ帰らなければ、高い利息を払わされたという記述が残されています。
・β星(3.5等)ネカル - Nekkar,Nakkar
アラビア語で、この星座全体を表していたアル・バカル(牛を追ってゆく人)が訛ってネカルとなったものとされています。
・γ星(3.0等)セギヌス - Seginus
これは本来ケフェウス座の星座名Cepheusの綴りと混同したものとされていますが、
アルクトゥルスのアラビア名からきているとする説もあり、はっきりしたことは解りません。
別名をハリス Haris といいますが、これはアラビア名で「北方の番兵」の意味だといわれています。
・ε星(2.4等)イザル - Izar 通称プルケリマ
スペクトル型 K0U-V+A2X
アラビア語のアル・イザール、またはミザル(腰布,腰ひも)からきたもので、牛飼いの腰に位置します。
この星は別名ミラクとも呼び、これもアラビア語のアル・ミラク(腰)からきています。ミラクという名前は
他にも、アンドロメダ座γ星や、おおぐま座のβ星が同じ名前ですが、どれもそれぞれの腰に位置する星の名前に使われています。
また、ロシアの天文学者で二重星研究家フリードリヒ・シュトルーヴェが、
この二重星のオレンジと青という色の対照があまりにも素晴らしいことから、プルケリマ(最も美しいもの)と名付けたことも有名です。
・η星(2.7等)ムフリッド - Muphrid,Mufrid,Mufride
スペクトル型 G0W
アラビア名のムフリッド・アル・ラミヒ(槍使いの一つ星)からきた名前だといわれています。
・μ星(4.3等)アルカルロプス - Alkalurops
ギリシア語のカーラウロプス(羊飼いの持つ先の曲がった杖)のローマ文字読みに、アラビア語のAlがついてできた名前です。
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