【星座を構成する固有名のある星】
・α星(2.0等)ポラリス(北極星) - Polaris
スペクトル型 F7:Tb-Uv
正式にはラテン名の『ステラ・ポラリス-Stella Polaris(極の星)』で、英語では「the Pole-Star」、
航海の目印の星であることから、「ステラ・マリス-Stella Maris(海の星)」とも呼ばれ、Stellaはカトリック教会で聖母マリアを意味するものです。
また、別名『キノスラ-Cinosura(犬の尾)』ともいわれ、これはもともとこの星座全体の名前だったものだと考えられています。
太陽からの距離800光年で、現在天の北極に最も近い輝星であるため、北極星という名前で呼ばれています。
地球の歳差運動によって、この星が北極星になったのは今から約2000年前からで、
それまで古代の人々が天の北極にある星としてみていたのは、この星座のβ星コカブです。
それ以前は、りゅう座のα星トゥバンでした。エジプトの大ピラミッドで北の入り口が
当時の北極星に向けて作られていたというのは、このりゅう座のα星のことです。
日本では、「北極さま」「北のひとつ星」や、十二支で北の方角を子(ね)とするので、これを「子の星」などと呼び、
中国では、北の星の意味で「北辰(ほくしん)」や、「天皇大帝」と呼ばれていました。
インディアンの人々には、北極星の精の話が伝えられています。
昔、狩人たちが遠い国まで狩りにでかけて道に迷ってしまい、来る日も来る日もあてもなく、さ迷い歩くばかりでした。
そこで狩人たちは、神々に生けにえを捧げて村の方角を教えてくれるように祈りました。そして一同がたき火のまわりで踊っていると、
どこからともなく、目をきらきらと輝かせた1人の子供が現れ、
「私は北の星の精です。あなた達の村はここから遠い遠い北にあります。私の後について来て下さい」とおごそかに言いました。
狩人達は喜んで北の星の精のあとについて行くと、無事村にたどりつくことができました。その後会議を開いて、その北の星を「いつも動かぬ星」と名づけました。
そして、その狩人達が死んで空に昇って星となり、今でも北極星についてまわっているのだと伝えられています。
アラビアでは、北極星を「地球の軸にはまっている穴」という意味の言葉で呼んでいました。
そして彼らの聖書であるコーランには、「神は陸にても海にても、暗き夜の道しるべとなるように、星々を与えたまえり」とあって、
星々を仰いで砂漠を旅し、遠く聖都メッカを礼拝するときには、まず北極星によって北の方角を知ります。
また、北極星を見つめれば痛みが治り、目の痛みやケガをした時にも、痛むところを北極星の光にさらせば治ると信じられているそうです。
・β星(2.1等)コカブ - Kocab,Kockab
スペクトル型 K4V
アラビア語のアル・カウカブ・アル・シャマリー(北の星)が短くなって、コカブ(星)だけになったもので、
地球の歳差運動により、3000年前にはこの星が北極星の役目をはたしていたため、この名前がつけられたものです。
・γ星(3.1等)フェルカド - Pherkad
アラビア語のアル・ファルカド、子牛や子象を意味する言葉からきているといわれ、
β星とこの星を合わせて、アラビア語でアル・ファルカダニ(2匹の子牛)と呼ばれるそうです。
英語で「the Guards of the Pole(極のガードマン)」と呼ばれたり、日本では「やらい星」や、
北斗七星が子(ね)の星を食べてしまおうとしているのを、内側で守っているのがβとγ星として「極の守衛」とか「番の星」とも呼ばれていました。
・δ星(4.4等)イルドゥン - Yildun
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