space > 春の星座 > かに座 > M44 プレセペ星団

+- かに座 -+


M44 プレセペ星団 (NGC2632) Praesepe/Beehive かに座 散開星団
赤経08h40.0m 赤緯+20゜00′ 光度3.7等 視直径70′ 距離600光年


 星団のすぐ北の、かに座γ(ガンマ)星-北のろばと、南のδ(デルタ)星-南のろばが、 飼い葉を食べている姿に見たてて、「プレセペ(飼い葉桶)」、 または、その見た目から「ビーハイブ(蜂の巣)」という愛称で知られている星団で、 私たちの銀河系内の星団中、もっとも広大な広がりを持つ明るい星団の一つです。

 かに座の四辺形(γ星、δ星、η星、θ星)の中に位置しますが、いずれも、3.9等から5.4等級という暗い星ばかりなので、 ふたご座と、しし座の間あたりを見れば、ぼうっと広がった光の固まりを見つけることができると思います。 もっとも、この星団は春の星団なので、春霞の中、肉眼では少し見つけづらいかも知れませんが、 透明度の良い暗い空でなら、淡く広がった星団の存在を確認することができます。 低倍率の望遠鏡(双眼鏡など)では、真っ黒なビロードの上に美しく散りばめられた星団全体を見ることができます。

 この星団のもっとも明るい部分は直径約13光年ほど、より遠い星々を入れると約40光年ほどの天域を占める星団です。 もっとも明るい星々は、太陽のおよそ70倍の明るさをもっていて、星団中10等級よりも明るい星が80個以上含まれています。 例えば、もしも太陽がプレセペの距離にあったら、地球からは10.9等星の明るさにしか見えません。 このことを考えれば、どれほど明るい星々の集団であるかイメージしやすいと思います。

 M44の固有運動は、0".0371年(位置角249゜方向)で、空間速度は約40km/秒ですが、 この運動は、おうし座ヒアデス星団とほぼ等しく平行であることから、この2つの星団は、 互いに約450光年以上の距離はあるものの、共通の起源をもつものと考えられています。

 また、プレセペは、古代から知られていた数少ない星団の一つで、各国にはさまざまな伝説が残されています。 中でも、プレセペを天気と関連づけたものが多く残されていて、すっきりと晴れた夜でないと見えないことから、 この星々が見えないということは、嵐の前兆と考えられていました。 他にも、この星団は、古代から恒星ではなく、何か雲のような天体として知られていましたので、 バイアーはこれにヌピルム(雲)と記し、 ギリシアの天文学者ヒパルコスはネフェリオン(小さい雲)、アトラスは小さい霧、と呼んでいました。 また、中国では、このプレセペ星団を「積尸気(死体を積み重ねたところから出る気)」という、気味の悪い名前で呼ばれ、 ギリシアの哲学者プラトンたちの間では、人間の霊魂が天上からおりてきたり、または天上界へ去って行く出入り口だと信じられていました。 こうして、古代より不思議な雲のようなものとして、長い月日が流れ、 1609年にガリレオが初めて望遠鏡を向けるまで、この星団が美しい星々の集まりであることは謎のままでした。


撮影データ 2001/2/22 露出70分+70分 フィルムコダックE200 焦点距離2432o F6
+- Photographer Yuuji Kitahara -+





speceへ戻ります





+- Yumi's Room Top -+
What's new / Link / BBS / Diary / Profile

+ Main Contents + / Space / Night Sky / Christmas / Dream

リンクとご利用について