・ 南十字座 学名 - Crux(クルックス)
南十字座は、1627年フランスの天文学者ロワイエによって名づけられました。
星座の形は、文字通り4つの星が十字を形作っています。星座を構成する星も、
1等星2つを含む煌びやかな星座で、南天の夜空では、もっとも有名な星です。
上の写真の南十字座左下に見える、煌びやかな南天銀河にポッカリと開いた
黒い穴のように見えるところは暗黒星雲で、通称「コールサック(石炭袋)」と呼ばれるところです。
はくちょう座にある暗黒星雲を「北のコールサック」と呼ぶのに対して、
「南のコールサック」と呼ばれることもあります。
大航海時代、初めてこの星座を目にしたのは、ヴァスコ・ダ・ガマ(16世紀初頭)で、
1520年ごろ以後十字架の名前で呼ばれました。
日本でも、徳川時代の「元和(げんわ)航海記」に、『倶留守(くるす)』として記してあります。
現在では南半球でしか見ることのできない星座ですが、キリストが十字架につけられた
紀元1世紀頃、歳差運動により地平線近くに見えたことが確認されています。
当時は、キリスト教弾圧により、この星座の設定はされていませんでしたが、
この星座はキリスト教徒のシンボルとなっていました。
後に、この十字架をかたどる星ぼしが「南十字星」と呼ばれるようになりました。
南天では南十字星を利用して天の南極を知ることができるので、
航海の安全を守る大切な星となり、南天のシンボルとなりました。
通常、南十字星と呼んでいるのは、十字架をつくる4個の星のことで、
その星群を含む付近の天域が南十字座とされています。
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