M8は最も素晴らしい散光星雲の一つで、いて座の南斗六星、またはミルクスプーンと呼ばれる星列の柄の部分
(μ星の南西約4度、γ星から北に約6度)に位置し、NGC6530という明るい散開星団が重なって見えるとても美しい星雲です。
この星雲は、ほぼ真ん中を横切る暗黒の帯の様子が、水の引いたあとの干潟のように見えることから「干潟星雲」と呼ばれています。
また、星雲の最も明るい場所(9Sgrから西南西約3′)、数字の8の字に見える、大きさ約30″ほどの部分は「砂時計」と呼ばれる場所です。
暗く透明度の良い空では、肉眼でも、ぼんやりとした淡い光が確認でき、双眼鏡では、星雲の広がりと重なるように位置する
散開星団NGC6530の輝く星々を見ることができます。望遠鏡では、口径が大きくなるにつれ輝きを増し、星雲星団の美しい対比を楽しむことができ、
上のような長時間露出の写真では、眼視では見えない、中央を横切る暗黒の帯や、明暗の星雲物質がまじり合った複雑な模様を見ることができます。
この天体は、HU領域と呼ばれる星雲物質の集合体の一つで、内部で星が形成されつつある塵とガスの雲です。
写真でも確認できるように、この星雲には「グロビュール」と呼ばれる、小さい円状の暗黒星雲が多く見られますが、この小さい丸い雲は、
実直径7,000〜10,000AUほどで、星形成の最も初期の段階にある「原始星」であると考えられています。
また、M8の周囲には多くの天体が位置していますが、この領域には、M8と連続する星雲状の物質が広がっており、
高温度の星があるところだけが見えているものと考えられていて、 M20(三裂星雲) とは、ほぼ同じ距離にあることから、
実際は同じ星雲の一部であるかも知れないと言われています。
この天体は、1747年に、ル・ジャンティユが発見したと言われることが多いようですが、
それ以前の1680年頃、フラムスチードは「いての弓に先行する、ぼんやりとした固まり」と書き記し、
1746年には、シュゾーによって「いての弓の中の星団」と記録されているそうです。
その後の1764年に、シャルル・メシエによってメシエカタログにM8として記載されたものです。
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