【星座を構成する固有名のある星】
・α星(0.8等) アルタイル - Altair
スペクトル型 A7X
アラビア語のアル・ナルス・アル・タイル(飛ぶ鷲)の後半だけがとられたものです。
アラビアでは現在のわし座とこと座のことをアル・ナスライン(2羽の鷲)と呼んでいましたが、
わし座のほうは「α,β,γ」の3星を翼をひろげて飛ぶ鳥の姿と見たのでこの名前があります。
日本では古くから「彦星(牽牛)」「犬飼い」「牛飼い」の名で呼ばれていて、九州地方では「犬引きどん」「犬飼さん」という名前が残されています。
中国では牽牛星の他に、三星を天の川のそばにある鼓(つづみ)の形と見て河鼓(かこ)と呼び、
α星を大将軍、左右の星を左将軍右将軍とも呼びました。これは参宿(オリオン)の三つ星を三将軍と呼ぶのと同じです。
・β星(3.7等) アルシャイン - Alshain
ペルシャ語でわし座のことをシャーヒニ・タラザド(襲う鷲)と呼んだことからこの名前で呼ばれますが、
本来はこの星だけの名前ではなく星座全体の名前で、アルタイルと同様翼をたたみ獲物に急降下する姿で描かれていました。
・γ星(2.7等) タラゼド - Tarazed
スペクトル型 K3U
上のβ星にあるペルシャ語でのわし座シャーヒニ・タラザドの後半部分からきたもので「襲うもの」という意味で、
レダ-Reda と呼ばれることもありますが、意味は不明です。
日本では「α,β,γ」3つの星を「牛飼いのお伴」と呼んだり、「親にない星」という地方もあったそうです。
古代アラビアで「δ,η,θ」3つの星をアル・ミザン(はかりの棒)と呼んだのは、この3つの星が天秤の棒のように見えるためだと言われています。
・ε星(4.0等),ζ星(3.0等) デネブ(Deneb)
はくちょう座のα星と同じ固有名を持つこの星は、アラビア語のアル・ダナブ・アル・オカブ(鷲の尾)からきています。
またこの名前はδ星の名前としてデネブ・オカブと呼ばれることもあり、本来「α,β,γ星」3つで構成されていた星座に
後で周辺の星を含めたことで星の固有名が混乱しているものと思われます。
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