わし座は夏の夜空で琴座のべガ、白鳥座のデネブとともに、天の川の流れをはさんで夏の大三角と呼ばれる、
大きな直角形を描くのが1等星アルタイル(飛ぶ鷲)で、日本では
七夕伝説の彦星
として有名です。星座はこの星を中心にやや形の崩れた
十字形をしています。
紀元前1200年バビロニアではすでに、この星座を鳥の姿で見るようになった例があり、中近東古代文明の中でも
同様の見方をしています。しかし当時のわし座は、現在のわし座を形成するα,β,γの3つの星で形成する小さいものであったと推定されています。
また古くは、わし座の南の部分にある、5,6個の小さい星がカーブを描いた場所を「アンティヌス座」と呼ぶこともありました。
これはローマ皇帝ハドリアヌスを長生きさせるためには、その最も愛するものが死ぬ以外にはないという神のお告げを受けて、
ナイル川に身を投げて死んだハドリアヌス皇帝の愛した美少年の姿でした。
皇帝はあまりの悲しみに、各地に像を建て貨幣にその美少年を刻ませ、またわし座のこの部分にその名前を伝えようとしました。
初めこの星座は天文家の間では相手にされませんでしたが、17世紀にケプラーがその星図に初めてこの星座を描きました。
しかし後にはガニメデと混同されるようになり、古い星図では、わしにつかまれた美少年として描かれていました。
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