【星座を構成する固有名のある星】
・α星(2.5等)メンカル - Menkar
スペクトル型 M1.5Va
アラビア語のアル・ミンカル(鼻)で、この星がくじらの鼻先に位置することからこの名前がつけられました。
もともとこの名前は、α星とλ星の両方に対する名前だったので、λ星の固有名として扱われることもあります。
α星ですが、等級では2.5等とβ星につぐ明るさです。
・β星(2.0等)デネブ・カイトス - Deneb Kaitos
スペクトル型 K0V
アラビア語のアル・ダナブ・アル・カイトス・アル・ジャヌビイ(鯨の南側の尾)で、この名の通り鯨の尾が
二またに分れた部分に位置しますが、通常は単にアル・デネブ・アル・カイトス(鯨の尾)が使われます。
別名として、ディフダDifda(2匹の蛙)という名前がありますが、これは南の魚座の1等星フォーマルハウトを1匹目の蛙とみて
この名で呼ばれたものです。
・γ星(3.5等)カファルジドマ - Kaffaljidhma
アラビア語のアル・カフ・アル・ジドマで、もともとは、鯨座の頭部にあたる部分全体の星々に対して付けられていた名前ですが、意味は解っていません。
・ζ星(3.7等)バテン・カイトス - Baten Kaitos
アラビア語のアル・バトン・アル・カイトス(鯨の腹)で、この星が鯨の腹部分に位置することからこの名で呼ばれます。
・η星(3.5等)デネブ - Deneb
デネブ(尾)と言う名前に対して、この星は鯨の尾のつけ根あたりに位置するため、
本来、くじら座のβ星またはι星に与えられたはずの名前ですが、しばしばこのη星に対してこの名が使われています。
また、同じ固有名を持つ星は、はくちょう座のα星デネブなどがよく知られています。
・ι星(3.6等)デネブ・カイトス - Deneb Kaitos
アラビア語のアル・ダナブ・カイトス・アル・シャマリー(鯨の北側の尾)で、β星が南側の尾であるのに対する名前でしたが、
現在では「北の,南の」がなくなって、両方ともデネブ・カイトス(鯨の尾)で呼ばれ、主にβ星の名前として使われています。
・λ星(4.7等)メンカル - Menkar
もともと、α星とλ星両方に対する名前だったものが、現在では通常α星の固有名として使われます。
・ο星(10.1等)ミラ - Mira
スペクトル型 M7Ve
正式にはラテン語のステラ・ミラ(不思議な星)ですが、形容詞だけが残って、ミラ(不思議な)が固有名になったものです。
長周期変光星としてとても有名な星で、この星は約331日ほどの周期で、明るい2等星くらいの光度から、
肉眼ではまったく見えない9等星くらいの光度までの変化を繰り返しています。
最大直径が太陽の500倍もの赤色巨星で、大気層が半径の20パーセント程度も膨張、収縮を繰り返し、
これに伴って脈動変光しています。太陽からの距離は、およそ500光年です。
この変光については、ドイツの神学者でアマチュア天文家であったダーフィト・ファブリツィウスによって、今から約400年ほど前に初めてその変光が記録されました。
彼は、1596年8月13日に3等級の明るさであったのが、やがてまったく見えなくなってしまい、13年後の1609年2月15日に
再び3等級の明るさになっているのに気がつきました。
現在、大量の質量放出を経て惑星状星雲への進化の途上との説が有力です。
1603年バイアーの肉眼星図「ウラノメトリア」は、ちょうどその中間の時期に発行されたことと、まだこの星の変光が一般に知られていなかったため、
この星を4等星とし、バイアー符号としてギリシア文字「ο(オミクロン)」が与えています。
|