【星座を構成する固有名のある星】
・α星(3.7等)トゥバン - Thuban
アラビア語のある・トゥバン(蛇または竜)で、地球の歳差運動により、
約5000年前にはその前後数百年にわたって北極星の役割を果たしていた星で、
一説によるとその当時は、少なくとも現在の約2倍の光度(2等級)があったといわれています。
エジプトに現存する最大のピラミッドである、
クフ王(ギリシア-ケオプス王)のピラミッドの建設年代は紀元前2580年前後といわれています。
このピラミッドの北側には、水平面に対して31度の角度を持った一直線の通気孔が墓室から外壁に通じていますが、
これは、一説によると当時の天文学者が北極星だったこの星(りゅう座α星)を観測するためのものであったといわれています。
また昔、西アジアにあった国のザルゴン王の星占いの書物に、
「天の生命」「天の裁判官」などの名前であがめられているのも、この星であると考えられています。
・β星(2.8等)ラスタバン - Rastaban
スペクトル型 G2Tb-Ua
アラビア語のアル・ラス・アル・トゥバン(蛇または竜の頭)で、別名ラスタベンも同じ語源です。
その他、アルワイドと呼ばれることもありますが、これは「β,γ,ν,ξ星」が
ひし形に並んで竜の頭を構成している部分全体をアラビア語でアル・アワイド
(年とったらくだ、または母親のらくだ)の意味でこれがβ星の固有名となったものです。
・γ星(2.2等)エルタニン - Eltanin
スペクトル型 K5V
アラビア語でアル・ラス・アル・ティニン(竜の頭)からきたものです。
・δ星(3.1等)ノドゥス・セクンドゥス - Nodus Secundus
「第二の結び目」の意味で、りゅう座のとぐろの2つ目という意味からきたものです。
その他にアルタイスと呼ぶこともありますが、これはアラビア語でアル・タイスからきた「牡の山羊」という意味で、
これは、アラビア古来の星座で「δ,π,ρ,ε星」を山羊とみてアル・タイスと呼んでいたものが、この星の固有名になったものといわれています。
・ζ星(3.2等)ノドゥス・プリムス - Nodus Primus
ラテン語で「第一の結び目」という意味で、星座絵でこの星が、ちょうど一つ目のとぐろを巻いている所に位置するのでこの名で呼ばれます。
・ι星(3.3等)エダシク - Edasich,Ed Asich
アラビア語のアル・ディハで、ハイエナの牡という意味です。
毎年1月4日早朝には、この星の付近を放射点とする「りゅう座流星群」がみられます。
古い時代はこのあたりを壁面四分儀座と呼んでいたことから「四分儀流星群(しぶんぎりゅうせいぐん)」と呼ばれることもあります。
・λ星(3.8等)ギアンサル - Giansar
ペルシア語のジョザル(りゅうの頭と尾)が訛ったものとする説や、アラビア名アル・ジャウザ(ふたご)からきたものともいわれます。
アラビア名の説が正しければ、この星が、りゅう座2番星(5等)との肉眼二重星であることに関連していると考えられています。
・μ星(4.9等)アルラキス - Alrakis
アラビア名アル・ラキス(飛んだり跳ねたりするもの)からきているといわれます。
もともとはアル・ラファド(放れているらくだ)の名前から変化したものだといわれ、
りゅうの頭の部分のひし形を「年老いたらくだ」と呼ぶことと関連があると考えられています。
・ν星(4.9等)クマ - Kuma
この固有名については解っていません。
・ξ星(3.8等)グルミウム - Grumium
ギリシア語のゲネイオン(下あご)が訛って現在の名前になったものです。この星が星座絵で、りゅうの下あごに位置するためこの名で呼ばれます。
・ψ星(4.6等)ヅィバン - Dsiban
アラビア語のアル・ディバイン(2匹のハイエナ)からきたもので、この星座のζ,η星の両方に付けられた名前が、この星の固有名になったものです。
アラビアで竜の頭部の4星をらくだと呼んでいたことから、それを狙うハイエナや狼として「ζ,η星」を見たものだと言われています。
|