神話では、琴座は琴の名手オルフェウスの持っていた琴だとされています。 日本では織姫と彦星の恋物語は有名ですが、 ギリシア神話でも、この星座には美しい悲恋の物語が込められています。 この琴はもともとヘルメス神が波打ちぎわで拾ったカメの甲羅に 七すじの糸をはって、音楽の神アポロンに贈ったものでした。 アポロンはこれを音楽の才能にひいでた子オルフェウスにゆずり、 それによりオルフェウスはギリシア一の音楽の名手となったのです。 オルフェウスには美しいニンフのエウリディケを妻に迎えていましたが、 あるとき、エウリディケは野原で毒蛇にかまれ死んでしまいました。 オルフェウスは諦め切れずに妻の後を追って黄泉の国におりていき、 心を込めて「今ひとたび妻を帰させたまえ」と琴を奏でました。 その美しい音色を耳にすると冥土の神プルートンも心を動かされ、 「地上に出るまで妻を振り向いてはならぬ」と約束させて、 エウリディケをかえしてくれたのです。 オルフェウスは喜びいさんでエウリディケを従え地上の道をたどりました。 やがてほら穴の出口にさしかかってこの世の光が見えてくると、オルフェウスは 我慢できずに妻の方を振りかえってしまったのです。そのとたんエウリディケは オルフェウスの名を呼びながら、吸い込まれるように黄泉の国へ引き戻されてしまいました。 再び妻を失ったオルフェウスはついに気が狂ってしまい、 ディオニュソスの祭りで琴をひけと無理強いされたのを断わったために、 琴もろともへプロス川に投げ込まれてしまいました。 オルフェウスの死を悲しんだ音楽の女神たちが、亡骸を拾い上げてリべトラの森に葬り、 その墓の傍の木にはいつも夜鶯(よるうぐいす)が美しい声を空にひびかせたといいます。 また、首と琴は流れるままに海に出てレスボス島にたどりつき、落ち葉の下に埋もれました。 大神ゼウスはこれを見て、あわれに思い星々の間にかけました。 これが琴の星座で、静かな夜には 今も悲しく美しい音色を響かせることがあると伝えられています。 +- Yumi's Room Top -+ What's new / Link / BBS / Diary / Profile + Main Contents + / Space / Night Sky / Christmas / Dream リンクとご利用について |