+- α星(0.5等)ベテルギウス - Betelgeuse -+
スペクトル型 M1-2Ta-Tab
現在では「巨人(オリオン)の脇の下」と説明されている星名ですが、
もともとは、アラビア語のイブト・アル・ジャウザ(白い帯をした羊の脇の下)からきていて、アル・ジャウザ(白い帯をした羊)は、
古代アラビアで現在のオリオンの三つ星(δ、ε、ζ星)とγ、κ星を指していたもので、「α、β星」は
ライ・アル・ジャウザ(白い帯をした羊飼い)と呼ばれていたものです。
この星は、太陽からの距離500光年、表面の温度は約3000Kの赤色巨星です。
巨星化にともない恒星内部が不安定になって収縮を繰り返しているため、約5年の周期で0.4等から1.3等まで明るさが変化している変光星で、
大きくふくらむと太陽の1000倍、小さく縮んだときでも700倍もあるという年老いた星です。
もしベテルギウスを太陽の位置に置くと、膨張時には木星の軌道間近に達するほどの大きさがあります。
日本でも様々な名前で呼ばれてきましたが、なかでも平家と源氏の赤旗と白旗になぞらえて赤いベテルギウスを「平家星」と呼んだことなどが知られています。
+- β星(0.1等)リゲル - Rigel -+
スペクトル型 B8Tae:
アラビア語のリジル・アル・ジャウザ(巨人の左足)からきています。
太陽からの距離700光年、太陽の直径の60倍ほどしかありませんが、明るさは4万倍(約1万2000K)もある若く青白い高温の星です。
もしもこの星が700光年という遠方ではなく、シリウスと同じ8.7光年の所にあったら、
夜の地上は満月よりも明るい光で照らされることになるそうです。
また、7等の伴星があり、中口径の望遠鏡で分離することができます。
スカンジナビアの神話では、ギリシア神話のオリオンを、巨人オルワンデルの姿とし、リゲルはその足の2本指の1つに輝く星としていました。
もう1本の指は、しもやけになっている間に雷神トールがもぎとって北の空高く投げ上げました。
投げられた星は、北斗七星の柄の部分(ミザール)にくっついて光っている星(アルゴル)になったと伝えられています。
日本では、赤いα星ベテルギウスの「平家星」に対して、白いこの星を「源氏星」と呼んだそうです。
+- γ星(1.6等)ベラトリクス - Bellatrix -+
スペクトル型 B2V
ラテン語で「女戦士」という意味で、オリオンを女性化して与えられた名前だといわれています。アラビア名はアル・ナジト(征服者)です。
+- δ星(2.2等)ミンタカ - Mintaka -+
スペクトル型 B0V+O9X
三つ星の西端の星で、アラビア語のアル・ミンタカ・アル・ジャウザ(巨人の帯)からきています。
この星は、天の赤道のすぐそばに位置していて真東から昇って真西に沈むので、この星を使って方角を確かめることができます。
+- ε星(1.7等)アルニラム - Alnilam -+
スペクトル型 B0Tae
アラビア語のアル・ニタム(真珠の糸)で、もともとオリオンの三つ星全体につけられていたものが、この星の固有名になったものです。
+- ζ星(1.8等)アルニタク - Alnitak -+
スペクトル型 O9.5Tbe+B2V
アラビア語のアル・ニタク(帯)からきた名前です。写真の左側の赤い星雲はNGC2024です。
+- η星(3.4等)サイフ - Saiph -+
アラビア語のサイフ・アル・ジャバル(巨人の剣)で、本来オリオンが腰に下げている剣に位置する
「θ、ι、42番星」3星につけられていたものが、この星の固有名になったものです。
+- ι星(2.8等)ナイル・アル・サイフ または ハチサ - Hatysa -+
ナイル・アル・サイフはアラビア語で、剣の明るい星という意味です。その名の通り、小三つ星の一番下、オリオンの持つ剣の先にあたる明るい星がこの星です。この星はハチサとも呼ばれますが、この名前の意味は解っていません。写真上部に赤く写っている星雲はオリオン大星雲です。
+- λ星(3.4等)メイサ - Meissa -+
アラビア語のアル・マイサン(光る星)で、本来は、ふたご座のγ星につけられていた名前だと言われています。
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