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【 さそり座を形成する固有名のある星について 】


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・α星(1.0等)アンタレス - Antares
 スペクトル型 M1.5Tab-Tb

アンタレス
 太陽からの距離600光年、大きさは太陽直径の約200〜800倍にも達する赤色巨星で、表面温度は3000k程度です。 老齢で星の内部が不安定になっているため脈動し、約5年間で0.9等から1.8等まで明るさを変える長周期変光星で、緑色の暗い伴星があります。

 赤い1等星のこの星の名前は、ギリシア語のローマ文字化、意味は「アレース(火星)に対抗するもの」で、 この星の色が火星の色によく似ていることからそう呼ばれます。 地球に接近した時の火星は、アンタレスと比較にならないくらい明るく輝きますが、 地球から距離が遠い時の火星とアンタレスは色や明るさがとてもよく似ていて、 アンタレスが黄道上に近く、火星がこの付近にくることもしばしばあるので、このような名で呼ばれるようになったと考えられています。
 アラビア名は「カラブ・アル・アクラブ(さそりの心臓)」で、この名前の通り、この星はさそりの心臓あたりに位置しています。
 中国では、「火(か)」「大火(だいか)」「火星」などと呼ばれ、 「日が最も長く、火(アンタレス)が日没後南中するのが仲夏(夏至)である」という意味あいの言葉や、 「火星西に下る」という、アンタレスが南西の地平線に近くなると季節が夏から秋へと変わることを意味する言葉などが残されています。 また、アンタレスの左右にある「σ、τ星」とα星アンタレスの3星を「心宿三星」といいます。 他にも、火星が天王(アンタレス)に近づくのを「けいわく(火星)心に迫る」といい、最も不吉としていました。 秦の始皇帝の36年天文には、火星が真っ赤で、にわとりの血のように見えた次の年、始皇帝は滅び二世が即位して、 兄弟や大臣たちを殺し、ついに秦が滅びたと記してあったり、唐の世には玄宗の天宝13年に火星が50日余りも心宿にあって、 次の年、安祿山(あんろくざん)が反乱を起して帝が蜀の国に逃げた。などの記述が残されています。
 日本でも、その印象から「赤星」「酒酔い星」や、「子(ね)の星」とも呼ばれていて、 これは、子は十二支を北から東まわりの方角に割り振った時、北にあたるから「北の星」という意味で子の星といったそうです。 他にも船乗りの間では、「目当て星」「方角星」と呼ばれ、 「σ、τ星」とα星アンタレスの3星を「てんびん」「かごかつぎ」「稲にない」「粟にない星」や、「親にない星」など、 アンタレスの色が赤いほど、かついでいる荷が重い、つまり豊作だということから、 「豊年星」や「商人星」「天秤棒星」「負子星」「鯖売り星」「鯖かたぎ」「塩売り星」などとも呼ばれていました。


・β星(2.6等)アクラブ - Acrab
 スペクトル型 B1X+B2X

 アラビア語のさそりを指す言葉が訛ったものなので、本来星座全体に対する名前がこの星に与えられたものだと考えられています。

・δ星(2.3等)ジュバ - Dschubba
 スペクトル型 B0.3W

 アラビア語のアル・ジャバハー(額)が訛ったものといわれていて、この星がさそりの額あたりに位置することから、この名前がつけられたものだと考えられています。

・λ星(1.6等)シャウラ - Shaula
 スペクトル型 B2W+B

 さそりの尾の毒針に位置する2つの星の左側の星で、アラビア語のアル・シャウラー(とげ、針)かたきているといわれています。 λ星シャウラとυ星レサトは肉眼二重星です。

・μ星(等)
3等星と4等星の肉眼二重星で、固有名はありません。

・ξ星(4.3等)グラフィアス - Graffias
 ギリシア語のグラプサイオス(かに)のラテン語読みで、古代ギリシアでは「かに」と「さそり」は同義語だったことからこの名前がつけられたものです。

・σ星(2.9等)アル・ニヤト - Al Nyat
 アラビア名で「心臓の外壁」という意味の言葉で、さそりの心臓アンタレスの側にあることから、この名前がつけられました。

・υ星(2.7等)レサト - Lesuth
 スペクトル型 B2W

 アラビア語のアル・ラスアー(さそりの針)からきたといわれていて、λ星シャウラとυ星レサトは肉眼二重星なので、本来この2つをまとめた名前でした。
 中国ではこのあたりを二十八宿のひとつとして「尾宿」としていますが、これは、さそり座を蒼竜とみたときも、この星が尾にあたる場所に位置するからです。
 日本では、「おとどい星(兄弟星)」といわれ、鬼に追われた2人の兄弟が天に祈ると、天から釣り針のついた鎖(さそりのS字の星列)がおりてきたので、 それにすがって天に昇り、難を逃れて星になったという言い伝えが残されています。


・ω星(4.0等)ジャバト・アル・アクラブ - Jabhat al Akrab
 アラビア名で「さそりの額」という意味の言葉で、δ星と同様の意味です。
 またこの星は、4等星と5等星の肉眼二重星です。









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