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【 その他各国のプレアデス・ヒアデス星団の神話、名称 】


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【 プレアデス星団 】

・日本

 日本では、西日本地方で『すばる』、東日本地方で『六連星(むつらぼし)』という名で親しまれています。 「すばる」という呼び名については、この星団の星々が、糸を通してまとめたように集まったもののように見えることから 「統(す)ばる」の意味で、古事記や日本書記にも「すまるの球」と記されている、古代の日本人が身につけたアクセサリー(玉飾り)の名称が、この星団の名前となったものといわれています。 「六連星(むつらぼし)」は、東日本で呼ばれた名前で、名前の通りプレアデスが、肉眼では6つの星の集まりにみえることからこの名で呼ばれました。 他にも、「すまり星」「つばり星」「むづら」「六神(むつがみ)」「むつらごさま」や、 長野・山梨地方では、「すばるまんどき、粉一升」などの、そばの種蒔き時期と、プレアデスの日没後の地平光度との関係のことわざから「一升星(いっしょうぼし)」と呼ばれ、 また、多数の星が一群をなしている印象から、「むれ星・むらがり星・すずなり星・くさ星」などとも呼ばれていたそうです。
 丹後風土記には、与謝(よさ)の浦島太郎が竜宮城を訪ねたとき、7人の子供が出迎えました。亀姫に聞いてみると「昴星(すばるぼし)」です。と答えたと伝えられています。


・中国
 中国では、二十八宿の『昴宿(ぼうしゅく)』で、紀元前2300年頃の農事暦として、「日は短く、星は昴、似て仲冬を正す」とあり、 プレアデスが夕暮れに南中する時を冬至としていました。中国では偉人を星の生まれ変りとされていたので、 漢の宰相(さいしょう-昔、中国で天子を助けて政治を行った人)は、昴宿の精と信じられていました。

・インディアン
 昔、秋の夕暮れにインディアンの若者が森の中を歩いている時、7人の美しい日の神の娘達が川辺で遊んでいるところへ出くわしました。 若者が隠れて覗いていると、空からかごが1つ下りてきて、娘達がかごに乗ると、見る見る天へ上って行ってしまいました。
 若者はあの娘達にもう1度会いたくて、来る日も来る日も川辺へ行って木陰から覗いていました。 そうする内に若者は、一番下の娘を愛するようになりました。それである夜、木陰から姿を現して川辺に近づいて行くと、娘達は悲鳴をあげて下がってきたかごに飛び乗り、天へ帰ってしまいました。
 その後も若者は毎夜川辺に行きましたが、娘達は姿をみせません。そうしながら冬春夏が過ぎて、再び秋が巡ってきたときのある夕暮れ、7人の娘達が川辺に姿を見せました。 若者は今度はこっそりと忍び寄って、一番年下の美しい娘をつかまえ、彼女をどれほど愛しているかを訴え、妻になって欲しいと懇願(こんがん)しました。
 娘は若者の情熱に心を動かされて、妻になることを約束しましたが、「それには一緒に下界を去って、天上の人とならなければなりません」といいました。 それで若者は、下がってきたかごに7人の娘達と共に乗って天へ上って行きました。
 この7人の娘達がプレアデスで、若者はオリオンとなり、7人の娘達の1つがはっきり見えないのは、若者の妻となった娘で、 天の神は彼女が人間の妻となるのを好まず、姉達のように明るく輝かないようにしたと伝えられています。

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 インディアンには他にも、星となった子供達として伝えられる話が残されています。
 ある星月夜に、インディアンの7人の子供達が森の中で手をつないで星の歌を歌いながら踊っていました。 すると、星が見惚れて目をパチパチさせたので、子供達は空へ上っていって、プレアデスになりました。けれど、1人だけは下界を恋しがって泣いているので、その星だけはよく見えないのだといいます。

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 星となった子供達としての伝説は、もう1つ、ブラック・フットと呼ばれるインディアンに伝わる伝説があります。
 ある小さな部落に、とても貧しい家族が住んでいました。その部落の男達は夏になると、長い冬に備えて肉や毛皮を蓄えて置くために、バッファロー狩りに出かけるのですが、 その貧しい家の父親は、かろうじて冬を過ごせる程度の肉は手に入れましたが、6人の子供達が楽しみに待っていた子牛の皮は1枚も手に入れることが出来ませんでした。 部落の他の子供達は、ぼろぼろになってしまった服を着ている貧しい家の子供達を見ては指をさして笑います。
 そしてある日、他の子供達になじられることをとても辛く思っていた6人の子供達は、とうとう部落から姿を消してしまいました。
 そのようすを天上から見ていた精霊が、この哀れな6人を天上界にあげ、精霊の仲間に加えました。
子供達が出て行った日の夕暮れ、村の人達も両親も、慌てて子供達を捜しましたが、子供達は一向に見つかりません。 そして、それから数日が過ぎたある日、村の人が夜空を見上げ、今までそこに見たこともなかった6つの星からなる星群があることに気がつきました。
 ブラックフットの人々の間では、その星群は6人の可哀想な子供達だと伝えられています。


・オーストラリア
 オーストラリアのアボリジニの人々は、プレアデスの上るときを元旦として「黒人達に親切な星」といいました。
 昔、7人の美しい娘が森の中を歩きまわって、ヤム芋を探しましたが、1日かかっても1本も見つかりませんでした。 コッカトゥ島が1つ残らず食べてしまったからです。娘達は手ぶらで帰って、殴られるのをひどく恐れました。 そこで先祖の霊の名を呼んで、助けて下さいと祈りました。霊は高い空から見下ろしていましたが、娘達を不憫に思い、 1人1人を星にしてやったのだと伝えられています。


・タイ
 タイでは、ひよこの群と呼ばれていました。
 昔、信心深い老夫婦が住んでいました。子供のないことだけが不幸で、その代りにニワトリのひなを飼って可愛がっていました。
 そんなある日の夕方、みすぼらしい旅人が疲れきって1晩だけ泊めて欲しいと頼みました。 老夫婦は快く招き入れましたが、貧しいのでもてなす方法がありませんでした。2人は相談して、不憫だけど明日の朝には、大きくなったニワトリで食事を作って旅人をもてなすことにしました。
 その話を聞いていたニワトリは、7羽のひよこを集めて、私は、明日の朝には恩人の夫婦のお役に立つことになりました。これは本望なのだから、お前達は悲しまずに仲良く暮すようにと言い聞かせました。 しかし、ひよこ達はひどく悲しんで、母鶏が大鍋にいれられると、1羽、また1羽と鍋の中へ身を投げて母鶏と運命を共にしました。
 旅人は実は仏陀の仮りの姿だったので、老夫婦の親切を喜ばれ、同時に7羽のひよこを空へ上げて星とされました。 それがプレアデスで、タイでは「ダーオ・ルーク・ガイ(ひよこ星)」と呼ばれているそうです。


・ミクロネシア
 ミクロネシアではプレアデスをジュプロと呼びます。島の母はリゲダネル(ぎょしゃ座カペラ)で、長男はジュムール(さそり)、ジュプロは末っ子です。
 リゲダネルの子供の星達が天から下りて、アイリンラブラブの島に住んでいる母を訪ねたとき、兄弟が集まって相談し、誰でもこの島の東にある島に1番早くついた者を、星の王としようと約束しました。 そこで、皆急いで船出の仕度をしました。
 母リゲダネルは、まず長男ジュムールの船へ行って「乗せて欲しい」と言いましたが、持ち物が重く、船足が遅くなるのを嫌って断わりました。 それから兄弟達に頼みまわりましたが、皆母を乗せるのを断わりました。でも最後にジュプロだけは快く、母をその七つ道具と共に船に乗せてあげました。
 船が水におりると、母はジュプロに品物を持ち込ませ、それをどこに置き、どこに取りつけるかを詳しく教えました。 これに手間取って、ジュプロは他の兄弟達より遅れて出発しましたが、不思議なことに船は飛ぶように進みました。 母の持ち込ませた道具は、その時まで誰も知らなかった帆具だったのです。
 こうしてジュプロの船は、兄達の船をぐんぐん追い抜き、先頭のジュムールに近づいた時、ジュムールは長男の権威をふるって、 「船を明け渡せ」といいました。ジュプロはしぶしぶ言うことを聞きましたが、母は船を渡すすきに、帆を支えていた柱を抜き取って海へ投げました。
 ジュプロはやむを得ず、自分の身体で帆を支えていったため、せむしになってしまいました。そしてその間に、母とジュプロは島に泳ぎついて、約束通り星の王となりました。
 ジュムールは遅れて島に着きましたが、怒って二度とジュプロに会わないと決心しました。それでジュプロ(プレアデス)が東の空へ上れば、せむしのジュムール(さそり座アンタレス)は、急いで西へ沈んで行くのだと伝えられています。


・インドネシア
 インドネシアでは、プレアデスを「タマンカバ」といいます。「羽ばたく雄鶏」の意味で、顔がプレアデス、身体がオリオン、尾はおおいぬ座のシリウスです。  他のインドネシアの言い伝えでは、タマンカバは酋長の名前で、ある時彼は天へ上っていましたが、下界へ下りる道が分らなくなりました。 道を尋ねると、「二又に分かれた道に出たら左へ行けばよい」と教えられましたので、その通りに行ってみると木の枝が橋になっていて、ひどく揺れて渡ることができません。 それで後戻りして、右の道を行ってみると、プレアデスのところへ出ました。
 そこの住民はタマンカバに農作のことを教えてくれました。やがてある日のこと、タマンカバが高い所へ登ってみると下界の家が見えたので、急いで飛び下りました。
 それからタマンカバは、天上で教えてもらった農作の方法を土地の人達に伝えると、「私は7日たったら石になる」と予言し、7日後予言通りになりました。
 それ以来、プレアデスのことをタマンカバと呼ぶようになったと伝えられています。



【 ヒアデス星団 】

・日本

 日本ではこの星団を、Vの形から「つりがねぼし」と呼びました。

・ギリシア
 ギリシア神話のヒアデスは、天を肩にかついでいる巨人アトラスの7人の娘で、プレアデスとは異母姉妹にあたります。兄ヒュアスが猪に襲われ殺されたのを悲しんで星になったといわれ、 『雨降りヒアデス』と呼ばれるのも、その姉妹達の涙と伝えられています。

・中国
 中国ではこの星団を二十八宿の『畢宿(ひつしゅく)』と呼びました。畢はうさぎを捕る網でVに柄のついた形がそれに似ているからだといわれます。 そしてギリシアの雨降り星と同じく、古い詩経に「月畢にかかれば滂沱(ぼうだ)たらしむ」とあり、これは、ここに月が位置するのを雨の知らせとしたものです。








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