第4章
・・・星に導かれ・・・







イエスが降誕された頃、東方の占星術の学者達が

夜空にひときわ輝きを放つ一つの星を発見しました。

「旧約聖書が語るヤコブの星はメシアを指している。」

学者達はかつて見たことの無い星の光に、

メシア降誕のしるしを読みとったのです。

神のみ子が世に遣わされて、人々を罪から救う、

ユダヤ一民族ではなく、

あらゆる国のあらゆる民族を救う神の御子がお生まれになる。



彼らは躊躇いませんでした。らくだの背に鞍をおくと、

未知の国ユダヤの都エルサレムを目指して故郷を後にします・・・

果てしなく続く砂漠・・・

そこには飢え、渇き、盗賊、野獣の危険が待ち伏せていました。




ところが、ようやく辿り着いた都は、帰郷する旅人でごったがえしていて

メシアの降誕を奉祝する気配もありません。

怪しんだ学者達はヘロデの王宮に入って尋ねました。




ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。

わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。

新約聖書マタイ2・2より



ヘロデ王は身もすくむほどの不安に襲われました。

この幼子を生かしておくことはできない、王位を奪われてしまうかもしれない。

急きょ都に住む見識者達を召集して調べさせた挙句、

降誕の地がベツレヘムであることを確かめると、

密かに、占星術学者を呼び寄せて耳打ちしました。




行って、その子のことを詳しく調べ、

見つかったら知らせてくれ。私も行って拝もう。

新約聖書マタイ2・8より



ベツレヘムはかつてイスラエルの王ダビデの町として栄えたましたが、

ヘロデ王の時代には往時の面影をとどめぬ一寒村に過ぎません。

王であるメシアの降誕の地にしては、あまりにもわびしい村。

しかし、東方の学者達は世の常識に左右されませんでした。




エルサレムを離れると、故郷の空で仰いだあの輝く星が、

再び先だって進み、ついに幼子のいる場所に止まりました。

学者達は喜びにあふれて家に入り、

幼子が母マリアと共におられるのを見、ひれ伏して拝みました。

宝の箱を開け、黄金、乳香、没薬を贈り物として捧げます。

黄金の産地はシェバであり、

乳香と没薬はアラビア原産の樹木で作ったものです。

こうして、この時から数世紀も前に、

預言者イザヤ(旧約聖書イザヤ書)が告げた言葉が成就しました。




らくだの大群、ミディアンとエファの若いらくだが、

あなたのもとに押し寄せる。

シェバの人々は皆、黄金と乳香を携えて来る。

こうして、主の栄誉が宣べ伝えられる。

旧約聖書イザヤ60・6より



占星術者達は長い旅の目的を果たすと、喜びに満たされて

来た時とは別の道を通り、故郷へ帰って行きました。

「ヘロデのところへは帰るな」と、夢でお告げがあったからです。



神は人々に頭を上げさせました。

そして、星を見つめよと命じ、

輝く星を見つけた彼らは喜びに満たされました。



およそ二千年前の今日、降誕された御子を、

再び向かえるこの聖なる夜・・・

世界中のすべての人々が

神の祝福で満たされますように・・・

アーメン・・・







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