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M13 (NGC6205) ヘルクレス座 球状星団
赤経16h41.7m 赤緯+36゜28′ 光度5.7等 視直径23′ 距離約23500光年

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 M13は、その美しさにおいては全天一と言われる北天最大の球状星団で、ヘルクレスの腰のあたり(η星とζ星の間で、ややη星寄り)に位置します。 球状星団とは、銀河を取り囲むように分布している天体で、私たちの銀河系では現在およそ100個ほどの同様の星団が確認されています。
 この星団は、透明度の良い暗い空であれば肉眼でも確認することができ、双眼鏡で見ると星雲状に、 口径10cmほどの望遠鏡では光る霧が分解され、20cm以上の望遠鏡では、大球状星団の星々が視野いっぱいに広がる素晴らしい眺めとなります。

 M13は、1715年、最初ハレーによって発見されましたが、1764年にシャルル・メシエによって偶然再発見され、「星を含まない丸い星雲」としてメシエカタログに記載されました。 後にウィリアム・ハーシェルの大反射望遠鏡観測によって、この星雲が美しい星の集団であることが明らかにされました。

 現在各国では、宇宙の知的生物からの信号を探知しようというSETI(地球外知的生命探査)が進んでいて、 その初めての試みとして、 くじら座のτ(タウ)星 とエリダヌス座のε(エプシロン)星に電波望遠鏡を向け、 知的生命体からの電波を探すという、アメリカの天文学者フランク・ドレークらによる「オズマ計画」が知られていますが、 その後1974年にも、アメリカのカール・セーガン博士らによりアレシボ天文台から、この「球状星団M13」に向けてのメッセージが送られました。 この時送られたのは、太陽系の構成や人間、DNAのことなどを示したものですが、この電波がM13に届くのは、およそ2万3500年後という遥か未来になるそうです。
 (このページで使用しているM13の写真は、カールセーガン博士のTVシリーズ「コスモス 2」に採用されている写真です)

 この星団の星数について、この星団中心の輝く部分には多数の星々が埋もれているため、中心核の中では正確な数字は求められていませんが、 全星数は100万個を下らないのではないかとも考えられています。また、この星団の全光度は太陽の30万倍を超え、 質量は太陽のおよそ50万倍ほどだと考えられ、これらの星々の実光度は、いずれも太陽の約2,000倍となります。 この星々の絶対等級は約-8.7等で、例えば太陽がM13の距離にあるとすれば、19等の星にしか見えません。 このことから、この星団がどれほど明るい恒星の集団であるかが想像できます。

 M13の大半の星々の含まれる範囲の実直径は、およそ100光年ですが、外側に散らばっている星々まで入れると、 およそ200光年という広大な領域にまで分布しています。また写真で見ると、信じられないほどの濃密さで集まっている印象で、 星々が接触しそうな距離であるように錯覚してしまいますが、実際は、中心部分の領域を100光年ほどとすると、 つまり、およそ100光年の容積なので、100万個の星がそこにあるとすれば、密度は1立方光年あたりに1個ということになります。 宇宙でもっとも星が固まっているように見える球状星団でさえ、その星々は広大な宇宙空間では、空虚な空間に散りばめられたものなのです。

 この星団の星から見る空は、シリウスやカノープスさえも目立たなくしてしまう...満月と金星の間ほどもある輝く星々が散りばめられている。という様子でしょうか...

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 この全天一の美しさを誇る球状星団については、さまざまな書簡の中でその素晴らしさが称えられ、マリー・プロクターは著書「星空(1924年)」の中で、  「暗夜では肉眼でかろうじて見える。オペラグラスでは、両側に1個の暗い星を持つ、霞んだ光点に見えるが、ハーシェルが彼の大望遠鏡で調べたときは、 この光点が少なくとも1,4000個の星を含んでいるに違いないと計算した。今日写真を使えばクローズアップされた、この星団の姿を見ることができ、 いわば、数千個の太陽からなり、その外縁に天の風にただようかのような曲がった流れをもつ、文字通り1個の球と呼べる。・・・この星団は輝く星のかたまりで、 この星団の素晴らしい写真をちょっと見ただけで他のどんな説明よりも遥かに驚くべき姿を見せていると感じると思う。 これらの多くの星々からの、うっとりさせられるような光に接することができるのは、巨大な反射望遠鏡を通して、実際にかれらを見る特権をもつ、幸運な観測者である」と書き記しています。

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撮影データ 1995/4/8 f2436mm F6 フジカラーG400 露出 1時間30分 … 2001/renewal
+- Photographer Yuuji Kitahara -+





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