ふたご座は黄道12星座の第3座にあたり、
冬に牡牛座の東にほとんど頭上に仲良く輝く2つの星を見つけたら、
それが双子座のカストルとポルックスで、西側の白い星がα星カストル、
東側のオレンジ色の星がβ星ポルックスです。
星座の形は、2つの明るい星が並んで、ちょうど2人の人間が肩を組んでいるようにみえます。
毎年12月13日の夜をピークに前後1週間、カストルとポルックス付近から
明るい流れ星がたくさん飛び出してくるのがみられます。
これが「双子座流星群」です。このころの双子座は夕方ぼってきて真夜中にほぼ天頂、
明け方西へかたむくのでほとんど一晩中観測することができます。
ピーク時には1時間も見ていると30個以上の流星が流れ、
8月のペルセウス流星群とともに活発な出現を見せる流星群として有名です。
古代・中世の地中海沿岸に住む船乗りたちは、この双子の星を航海の守護者と信じ、船首像にカストルとポルックスをつけて崇めていました。
嵐の夜の海をゆくとき、帆柱にセント・エルモの火が出ると、カストルとポルックスの名を呼んだと伝えられています。
ギリシア神話では、ゼウスが白鳥に化けてレダに生ませた双子の兄弟神として伝えられ、
日本では、「おとどい(兄弟)星」「かにの目」「猫の目」や、カストル・ポルックス両星からそれぞれ南西へ二列に並ぶ星列を「門屋」、「松杭(松かざり)」などと呼ばれていました。
また、バビロニアではそれぞれナブーとマルドックという二神で「マス・タブ(大きなふたご)」と呼んでいました。インドでは、「2匹の子山羊」、
南アフリカでは「若い女たち」、オーストラリアでは「若者たち」、アラビアでは「2羽のくじゃく」と、諸民族の間でもこの2つの星を一対の星と見ていたことがわかります。
南洋には神話も残されています。南太平洋ポリネシアのソシエテ諸島でも、二つの星は「フーイ・タララ(ふたご)」といわれました。
ある日この双子の兄弟は、両親が二人を引き離そうと相談しているのを聞いて家を飛び出し、島から島を逃げまわってタヒチ島に渡りました。
母親は、そのあとを追ってタヒチ島にきて子供たちが山に隠れていることを知ります。二人を追って山に入った母親はとうとう二人を見つけますが、
双子は更に高い山の頂きへと逃げ、空に飛びあがりました。そのときの兄弟がそのまま星になったと伝えられています。
ゲルマン民族の間には「巨人の目」の名前があって、これも神話が伝えられています。
昔ダーゼという巨人がいて、いつも大鷲に化けては人間の国へ飛んで来て、目についたものをするどい爪でつかみ連れ去っていました。
ある日いつものように飛んで来てみると、3人の神が火を焚いて食事をしようとしていました。そこでダーゼはあることを思いつき、
神々を困らせたあげく、引きかえに神々が食べている「若返りのりんご」を持ってくると約束すれば許してやろうというのです。
ロケと呼ばれていた神は仕方なく、りんごの実を持っている女神イドウィンをさらって来てダーゼに渡しました。
しかし、他の神々はそれをひどく怒って、女神とりんごを取り戻してこなければロケを死刑にするというのです。
そこでロケは鳥に姿をかえてダーゼの住家へ飛んで行ったところ、巨人は留守だったので、女神とりんごを爪につかんで飛び去りました。
しかし、ダーゼに見つかってしまい、大鷲の姿になって矢のように追いかけてきました。
他の神々は石垣に出てロケの帰るのを待っていましたが、それを見ると枯れ枝を石垣の上に積み上げ、火を放ちました。
巨人は勢いあまって火の中に飛び込んでしまい死んでしまいました。
死んだ巨人には美しい娘がいて、神の1人と結婚することになっていたので、父の死をひどく悲しむ娘のために、
神々は巨人の目を空にかけました。それが、今も巨人の目と呼ばれて輝いている2つの星と伝えられています。
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