・α星(1.8等)ドゥベ - Dubhe
スペクトル型 K0Va+F0X
アラビア語のタール・アルドゥブ・アル・アクバル(おおぐまの背)を短くしたもので、北斗七星のひしゃくの縁、おおぐまの背中に位置する星です。
β星とともに北極星を見つけるときに使われるので、β星とあわせて指極星、またはポインターズと呼ばれます。
・β星(2.4等)メラク - Merak
スペクトル型 A1X
アラビア語のアル・マラク・アル・トゥブ・アル・アクバル(おおぐまの腰)が短くなったもので、メラクは腰の意味です。
他の星座にも同じ固有名を持つ星がありますが、どれもその星座の腰の部分に位置する星をさします。(アンドロメダβ星、うしかい座ε星など)
α星でも説明したように、α星とともに北極星を見つけるときに使われる星です。α星とあわせて指極星、またはポインターズと呼ばれます。
・γ星(2.4等)フェクダ - Phecda
スペクトル型 A0Xe
アラビア語のファハド・アルドゥブ・アル・アクバール(おおぐまの股)が短くなったもので、北斗七星のひしゃくの底に位置する星です。
・δ星(3.3等)メグレス - Megrez
アラビア語のアル・マグレス(おおぐまの尾のつけね)が短くなって、「つけね」だけが固有名になったもので、名前の通りおおぐまのしっぽのつけねに位置する星です。
・ε星(1.8等)アリオト - Alioth
スペクトル型 A0p
この星の名前は、本来ぎょしゃ座のα星カペラのアラビア名が誤ってこの星についたものといわれたり、その意味についてもいろいろな説があり、この固有名についてはよく解っていません。
・ζ星(2.3等)ミザール - Mizar
スペクトル型 A1Xp+A1m
アラビア語のアル・ミザル(腰布、ズボン)からきた名前で、別の星の名前だったものがこの星の固有名になったものといわれています。
そばにある80番星、4等星のアルコル(かすかなもの)との肉眼二重星で、両星の間隔は満月の3分の1程度、肉眼二重星の中でもっとも有名なものです。
また、ミザールには4等星の連星があり、小口径の望遠鏡で分離することができます。
さらにミザール自体がふたつの星からなる連星(ミザールA、ミザールB)であることが解っています。
・η星(1.9等)アルカイド - Alkaid
スペクトル型 B3X
アラビア語のカイド・バナト・アル・ナアシュ(大きい棺台の娘たちのかしら)が短くなったものです。
これは、北斗七星の「α、β、γ、δ星」を棺をのせる台、「ε、ζ、η星」を棺台をひく3人の娘たちとみたものです。
中国では「破軍星」と呼ばれ、この星に向かって軍を進めると戦いに破れると伝えられています。
日本でも「破軍の星」、「剣先き星」、「剣星」などと呼ばれていましたが、これは中国の「破軍星」からきたものだと考えられています。
・ι星(3.1等)タリタ - Talitha
アラビア語のアル・カフザ・アル・タリタハ(三つ目の足跡)で、アラビアではこのι星と隣のκ星の両星につけられていた名前です。
別名「タリタ・ボレアリス」とも呼ばれていて、タリタにラテン語のボレアリス(北の)がついて「第三の足跡の北の星」という意味になります。
・κ星(3.6等)タリタ・アウストラリス - Talita Australis
ι星と同じようにタリタにラテン語のアウストラリス(南の)をつけて「第三の足跡の南の星」という意味です。
・λ星(3.5等)タニア・ボレアレリス - Tania Borealis
アラビア語のアル・カフザ・アル・タニア(二番目の足跡)が短くなったもので、「二番目の足跡の北の星」の意味です。
・μ星(3.1等)タニア・アウストラリス - Tania Australis
タニアにラテン語のアウストラリス(南の)をつけて、「二番目の足跡の南の星」の意味です。
・ν星(3.5等)アルラ・ボレアリス - Alula Borealis
アラビア語のアル・カフザ・ボレアリスが短くなったもので、それにラテン語の「北の」をつけて、「第一の足跡の北の星」の意味です。
・ξ星(3.8等)アルラ・アウストラリス - Alula Australis
アルラはν星と同じで、ラテン語の「南を」をつけて、「第一の足跡の南の星」の意味です。
中国では、μ、ν、ξ星を「上台、中台、下台(台は星の意味)」と呼ばれていました。
・ο星(3.4等)ムシダ - Muscida
ラテン語のmusum(動物などの口、鼻)が訛ったもので、名前の通りおおぐまの鼻先に位置する星です。
・80番星またはg星(4.0等)アルコル - Alcor
北斗七星の柄の端から2番目のζ星ミザールの伴星で、
アルコルという名前は、アラビア語のアル・カワール(かすかなもの、見捨てられたもの)からきているといわれています。
この星は、アラビアで視力検査に使われていたことで知られていて、別名「サイダク(目だめし)」とも呼ばれ、視力の良い人なら2星を見分けることができます。
このようなことからアラビアには、「月が目に入らないでサイダクが目に入る」という、小さいことには気がつくけれど大事なことを見逃しがちなのを戒める言葉が残されています。
中国では、「輔星(ほせい)」と呼びます。輔は車の添え木のことで、力添えするという意味にも使われる文字です。
日本では中国の輔星を「そえぼし」と呼んだり、「四十グレ(40歳過ぎると見分けられなくなる)」などとも呼ばれていたそうです。
また、古くからミザールを馬、アルコルを乗り手とみる見方があって、ラテン名を「小さな星の騎手-Eques Stellula」といい、
バイアーは「騎手-Eques」と記しています。英国では「中の馬に乗ったジャック」と呼ばれました。
ドイツには、馬と乗り手と見た両星の伝説も残されています。
昔、荷馬車屋のハンスは道で旅に疲れたキリストを乗せてあげたので、
天国に入れてあげよう。と言われました。しかしハンスは商売がら、永遠の安住よりも永久に馬車で天を巡りたいと言い出したので、
それが許されて、いつまでも北極星を巡り続けているのだというものです。
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