ミザールは、北斗七星の柄の先から2番目に見えるζ(ゼータ)星で、アルコルとの肉眼的二重星です。
上の写真では左側の明るい星がミザールで、右側の暗い星がアルコルです。北斗七星 の写真で2つくっついて見える星です。アルコルは、別名サイラク(目だめし)と呼ばれ、
遠い昔、アラビアでは兵士の目の検査に使っていたことなどが知られています。
ミザールの光度は2.3等、距離は88光年と計算されており、アルコルは4.01等で、この2つの全光度は太陽のおよそ15倍です。
1650年にリッチョーリによって発見された最初の二重星で、300年以上にわたって最も話題にされてきた二重星の一つです。
ミザールとアルコルは肉眼二重星ですが、ミザール自体も、同じくらいの光度を持つ非常にくっつきあっている状態の二重星で、20.5日の周期で周りあう連星です。
このミザールの横に望遠鏡で分離できるミザールB星があり(上の写真でミザールの十字線が二重になっているのが確認できますが、その右斜め上にずれた一方の線がミザールBによる回折像です)、
これもまた二重星で、182.33日の周期で周りあう連星です。更に、このミザールBの周りを1350日という周期で公転する星が確認されています。
また、ミザールの肉眼二重星であるアルコルも二重星であることが分かっています。
このような観測結果から、肉眼ではごく普通の2つの星に見える「ミザール」と「アルコル」は、実際には(現時点の観測結果によると)七重星をなしているということです。
*- 重星発見の経緯 -*
1889年、ピカリングは、主星のスペクトル線が周期的に二重になっていることを確認し、このペアが非常に近接していることを発表しました。
また、二重線の強度が等しいことから、この2つの星の光度がほとんど等しく、実験の結果いずれも太陽のおよそ35倍であることや、公転周期は20.5386日で、計算によると両星間の距離は約2,900万kmほどであることが確認されました。
1908年、E.B.フロストによって、実視ペアの伴星の方(ミザールB)も、分光二重星であることが発見されました。その後、1964年に、W.R.ベアズリーによって、182.33日という周期が発表されました。
現在では、更にミザールBを1,350日周期で公転する星の存在が確認されています。
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